探偵は岐阜の居酒屋にいる<28>

桐山組の斎藤と探偵がバーで会った。

「うちのもんじゃねーぜ」

「だとしてもだ、なんか情報ぐらいはいるだろう」と探偵。

「安藤組の内紛かそれとも素人か・・心当たりあんのかよ」と斎藤は探偵に言う。

探偵はぼそっと、「いや、ありえーねーなぁ」。

「どういう筋読みだよ」と斎藤は探偵に聞く。

「放火で死んだ山田京子、彼女は山島太郎の実の娘だった」

「そりゃ初耳だ」

「だから山島は放火の真相をあばこうとした」

「確信に迫ったのでけされたのか・・・って」

「もし仮に山島がすばらしい正義感の持ち主だったとしたら、目の前で女がさらわれたらどうすると思う?」

「ナイトを気取ったってか?」

「そこを狙われた・・・計画的に・・・」

そこで松田が口を挟む。

「その計画の問題点は、山島がそのような正確であると熟知していないと、このような計画はできないってことだな」

ここで斎藤はもったいぶって・・・「実はな、面白いネタを仕入れたんだよ・・黒幕を知ってるぜ」

探偵は岐阜の居酒屋にいる<27>

探偵と松田が走って銃声のしたあたりに近づくと、なんと加藤が打たれているではないか。

虫の息・・。血を吐く。

そして絶命。

一体だれが?

そのときに足音がした。それを探偵は追いかける。走って、全力で走って追いかける。

でもどこにもいない。

一体だれがやったのか?

桐山組か?

探偵は岐阜の居酒屋にいる<26>

しかしすでに二人は死んでいた。

父親は多少意識があったがどんどんと遠のいていっている。風前の灯火の命の灯。

息子の写真を見ながら何かをしゃべっている。きっと何かしらフラッシュバックしているのだろうか。

探偵と松田は静かに見送った。

「おっさん、おっさん、おい、おっさん、何かいえよ」・・・

しかし息は帰らなかった。

探偵は加藤を探し出した。駐車場だ。

翌日のこと、探偵は加藤に接触しようとする。

「行ってどうするんた?」と松田に諫められるが、「ノープランだよ」と加藤に近づく。

「おーい、ころされるぞ」と松田。

「来るんじゃねーよ」と探偵。

でも松田はついてくる。

探偵は加藤に接近する。

しかしそのときに遠くで銃声がした。

探偵は岐阜の居酒屋にいる<25>

突然に探偵が表に出て行った。

「おーーい、どうした?」と松田が探偵を追いかける。

探偵は松田から逃げるようにして走る。走る。

「おい」「おい」松田が話しかけるも、とにかく探偵は走り続ける。

ここは山下和夫の家。

テープを取り返しにきた。

側転道場の連中がきている。山下和夫の両親の両手を縛ってリンチしている。

「金は返してもらう」と母親の足に一発。そしてもう一発。

「人は死ぬ前に人生がフラッシュバックするそうだ」と加藤は父親に一発二発と打ち込む。

「最後に見る映画はウジ虫の一生か・・」と平然とする。

「ははははは、はははは・・・」と不敵な笑い。

それからしばらくして探偵と松田が飛び込んでらきた。

「おっさん、大丈夫か?」「おいおい」

探偵は岐阜の居酒屋にいる<24>

そしてようやく逃げ切った。

そこで松田は言った。「ハンドルもってよ、どうも鎖骨が折れたみたいだから・・」と。

それを聞いて大笑いする二人であった。

 

翌日、加藤と待ち合わせをしたボーリング場に来た。松田と探偵はコーヒーを飲みながら加藤を待つ。

そのとき外を見た。現れたのは側転道場の連中だったのだ。やばいと思って、探偵と松田は一計を案じた。ボーリング場で「お客様の加藤様、お連れ様がボーリング場の3レーンでお待ちです」。

それに加藤達は引っかかる。

加藤達はすぐさまそこに行き、その客が交渉相手だと思った。いかにもらしい相手だから。

そして一応、探偵のお役目は果たしたことになる。

 

所はかわっていつもの居酒屋・・・

探偵の電話の相手は山田京子。

「来ましたよ、加藤」

「そうですか」

「一体、何をしようとしているんだ」

「ご想像にお任せします」

「どんなお顔をしているのかな?」

「それも想像にまかせるわ」

「目がねの似合う美人さんかな」

「京子のために俺たちはとても危険な目にあっている、手を組んだっていいだぜ」

「かんがえておくわ」

「でも一人で戦える相手ではないぞ」

「ひとりじゃないから」・・・と意味深な言葉。

「そうか、とにかく何かあったらいつでも連絡しろよ」

「居酒屋しかつかまらないくせに」

「携帯持つよ」

「主義をかえるの?」

「依頼人を守るためならな」

「ありがとう」・・そこで電話は切れる。

 

そこで松田は一言・・

「惚れたのか?」と。

探偵は岐阜の居酒屋にいる<23>

それでも形勢は不利にちがいない。2対20では当たり前といえば当たり前。 そんなときに松田はどこからかバイクで登場する。 形勢不利な探偵に「乗れ」、バイクは目の前にある。 探偵はそれにあわてて乗る。そして逃げる、逃げる。 連中は車で追いかける、追いかける。 どこまでも追いかける。

探偵は岐阜の居酒屋にいる<22>

ここで探偵はいきなりハジキに飛びかかる。突然のことでびっくりした幹部が一瞬「?」と思った瞬間に、探偵は幹部の顔面にめがけて頭突きをくらわす。

幹部はその頭突きをさけることができずに顔面に命中した。そしてそのまま幹部は気を失う。

探偵と松田は建物の表に出る。

そこには側転道場の連中が10人、いや二十人ぐらいはいるか。

探偵と松田はその真ん中を、「おつかれさまでーーーす」と平然と通りの抜けようとした。

しかしそうは簡単にことは済まない。

探偵の顔をしていったのが一人いたのだ。

「きさま・・・・、お客さんだ、接待してやれ」と叫んだ。

「へい」と連中が全員声をそろえて、二人に襲いかかる。

 

ここから二人は脱出を試みる。

二人を捕まえようとする連中の中で乱闘になり、そこから抜け出すために闘う。

松田は何故か強い。格闘技の経験があるのか、あるいは格闘技の熟練者なのか・・とても強い。ばったバッタと的をなぎ倒す。

素手で闘えば怖い者知らずだ。

探偵は探偵でまたまた強い。こちらは格闘技というよりも、我流の喧嘩という流儀か。動体視力は抜群。一人を倒すとすぐに次の敵を見定める。そしてすぐに相手を料理する。型もなにもないが、とにかく強い。

探偵は岐阜の居酒屋にいる<21>

外がなにやら騒々しい。右翼の車両から聞こえてくる大きな音声が聞こえてくる。松田がその音に気がつき・・

「おい、そろそろおいとましようぜ」と探偵に語りかける。

幹部と対面していた探偵は、「じゃぁ、本日はこれで・・・」と慌てて立ち上がる。

でもそうはたやすく返してくれないらしい。

幹部は探偵の前に立ちはだかり、「そう仰らず、代表も戻ってくる頃ですし・・もう少しゆっくりしていってくださいよ」

「そうしたいんですが、時間がありませんので」と探偵は少々まずくなってきている雰囲気に焦りをみせる。

「それではまた」と行きかける。

 

すると背中でカチャといういやな音がする。

探偵はピンときた。ハジキの音だと・・。そっと振り返る。

やはりそうだ、幹部はつり上がった目をしてハジキで自分を狙っている。しかも目の前で。

そして漢文は声音も口調も変えて、「ゆっくりしてけや」。

「何が目的かはなしてもらおうか」

「そういうおもちゃはしまっておきないさいよ、もう」、余裕を見せて。

探偵は岐阜の居酒屋にいる<20>

探偵はこのままいくと松田が暴走するかもしれないと思い、

「すいません、先ほどの話してですが・・」と幹部に切り出す。

「中には生きるヒントもつかめないような人もいるのではないでしょうか」と切り込んで。

「例えば、一昨年の9月、木曽川の川原でなくなった青年はお宅の熟成だったとか」

幹部は一見正直に答えた。「ええ、残念ながら」と。

「確か山下和夫君とか・・・シンナー中毒だったかな」

 

彼はなくなる二ヶ月ほど前から姿を見せなくなっていた。いわゆるオチこぼれというやつなんじゃないのか・・と逆に開き直られる始末。

「どうも我々の限界を認めるようで辛いのですが」

 

山下君が亡くなる前日、ここにいたという情報があるんですがね・・と探偵が言うと、「そんな話をどこで・・」。

「さあ」と探偵はとぼける。

「彼は二ヶ月前からここにはいませんでした、絶対に」

「ということにしているんですよね」、探偵はねちっこく追求をする。

「それが事実です」、幹部はブチ切れる寸前の様子。

探偵は岐阜の居酒屋にいる<19>

探偵と松田は側転酒場を訪問する。フリーライターという名刺を持って取材の振りをする。バレバレなのにこんな方法で訪問するとは、いかにも探偵らしい。

「お宅の理念はなんですか?」と探偵が聞く。

「我々の理念は屯田兵のようなもの。屯田兵はご存じですか?」と側転道場の幹部が答える。

「もちろんです、うちの曾祖父は屯田兵でしたから・・」と、探偵はお安い会話をする。探偵は真剣に回答をしているのたが、実際には全く滑稽なやりとりだ。

 

「だから我々はオチこぼれの子達を受け入れている。そしてここで彼らが生きていくための教育をしっかりして、かれらに生きるエネルギーを与えるのがしごとなんです、そして天下国家を語れるようにしたいと思う・・・」

「すばらしいお考えです・・」、探偵は歯の浮くような言葉をはさむ。

ここで松田が「ここで君は何をしているのかな?」、同じ部屋の隅で正座をしてうつむき、そして体を震わしている若者に向かって話しかける。

その幹部は、「もうしわけありません、彼は今鍛錬中ですので部外者とは話が出来ませんから、話しかけることはやめてください」と怒鳴った。

それでも松田ははなしかける。

「おい、大丈夫か、体が震えているけど・・・」

「ちょっと、ちょっと、話しかけないでください」