探偵は岐阜の居酒屋にいる<5>

事務所に出てから探偵はちょいと一杯引っかけるつもりで町にでる。知り合いの呼び込みと「こちとら時給10万円の仕事を決めてきたんだよ」と自慢げに話をする。

そんな最中にあやしい男達が車を降りてくる。後ろから3人、探偵の前から行く手をふさぐように3人・・。そしていきなりスタンガンで気絶させられた。

探偵は気絶したまま車のトランクに入れられて、岐阜の山奥までつれてこられた。

まだ雪深い岐阜の山奥・・・、ここで探偵は手足を縛られたまま降ろされる。目の前には深い、地獄に繋がるような穴がある。

「お前はここで死ぬんだよ、人間は死ぬ瞬間に色々な画面がフラッシュバックするそうそうだ、本当かね・・・」、そういわれた瞬間、後ろから足蹴りにされた。そして奈落の底へ・・。「あああ、オレは死ぬんだ」

そうして体全体に雪を埋められた。

探偵は岐阜の居酒屋にいる<4>

探偵は早速動き出した。南の弁護士事務所の入ってるビルに一人で乗り込んでいく。そして探偵は南弁護士事務所のドアをノックする。

探偵は、「害虫駆除をやっている会社ですが、当社の顧問になってもらいたく、お願いにきました」

なんと見え見えの嘘なのか。自分でもおかしく思いながら結構いけてる雰囲気でしゃべる。

しかし南は「それはそれは・・・」と偉ぶってしゃべりだす。

「ご存じではないのでお教えしますが、うちの顧客はいずれも大手なんです」

「つまり、うつのような弱小企業はここに来るのはお門違いだということですか」

「双方のメリットを考えればその方がいいってことだよ」と、完全な上から目線になる。

探偵はここで切り出す。

「困ったな、しかし例えばですよ、山田京子さんの紹介でもダメですかね」

「誰の紹介だって?」

探偵は再度繰り返す。「山田京子、ご存じありませんか?」

「さぁ、しらんね」

「そうですか・・、いや実はですね、その山田京子さんが昨年の2月5日に加藤という人がどこにいたか聞いてくれ、そう言っているんですよね」

「君は何の話をしているんだ?」

「いえ、わからなければ結構です」と探偵は立ち上がり、急いで事務所を後にする。

探偵は岐阜の居酒屋にいる<3>

ある日、居酒屋に探偵宛に一本の電話が入る。

「山田京子です、お金を振り込んだので依頼を請けて欲しいのです」

しかし探偵は「こんな依頼を請けたくない」と電話を切る。

それから5分後に山田京子から電話を掛けてきた。

「助けてくれませんか、私、あなたしか頼れる人がいないので」

そのことばに探偵はその気になる。恰好をつけるのはこの探偵の欠点でもあり長所でもあるのだろう。

「仕方がありませんね・・・、それで?」

「南という弁護士にあって質問をしてほしいのです」

その質問の内容は、2月5日、加藤はどこにいたのか?それだけ聞いて欲しいというものであった。

「それだけ?」

「それだけです」

「もし聞き出せなかったら?」

「そのときはそのときの南の様子を聞かせてもらえればいいです」

こんなやりとりの末、正式に探偵はその依頼をうけることにした。

つづく・・・。

探偵は岐阜の居酒屋にいる<2>

山島がパーティ会場を後にして歩き出した。

その山島の目の前で突然に一台の車から男が4人降りてきた。そして、その男達はすぐそばを歩いていた女性を車に乗せようと乱暴をはたらく。それを見た山島は彼らに近寄り、「やめなさい、こんな乱暴なことはやめなさい」と制止しようとする。

しかし男達は山島に暴力をふるう。あたかもそれが最初からの目的であったかのように。

いや、それがまさしく目的であったのだ。

山島は鉄棒などで何度も何度も殴打された。殴打されつづけた。逃げまどう山島を執拗に追いかけて殴打し続けた。

そしてついに山島を息絶えた。

 

「表と裏、簡単に裏返る、人間と同じだ」

探偵はいつもの居酒屋で友人の高田と杯を傾けながらオセロをしている。そんな探偵の物語だ。

つづく・・・

探偵は岐阜の居酒屋にいる<1>

ここは岐阜・・とある場所で事件はおきた。

地元の大手建設会社、山島グループの30周年の記念パーティーが開催された。市長も招待され、多くの各界名士も参加して、盛大にパーティーは開催された。まずは市長の祝辞から始まる。この市長の祝辞はまた長い。延々とつづく。気がついたら20分が経過していた。

そこでようやく山島グループのトップ山島太郎の挨拶が始まる。

「この地に根を生やしてはや30年が経過しました。それもひとえに皆様方のお陰であります・・」

力強く、そして感謝の念を参加者全員に届けとばかりに語った。そして一人の女性を紹介する。「その女性なしでは今の私は存在しない」と。その女性の名前は斉藤あきこ。まだ籍は入ってないが、仕事の上で秘書的な存在であり、山島の精神的支柱になっている存在だ。皆の前で堂々と紹介する。

そして祝宴が始まる。

しかしあきこが「急に気分が悪くなった」と言って、山島はあきこを連れだって帰宅しようとした。そのときにあきこは「忘れをものをしたから先に行ってて」と山島を先に行かせる。

事件はそのときに起きた。

つづく・・・